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包丁選びとお手入れの基本2 良い包丁の要素とは

そもそも「良い包丁」とは何でしょうか。
私は、まず何よりも第一に「良く切れること」だと思います。

ただ、料理教室の参加者と話をすると、「切れる包丁は怖い」とおっしゃる方がけっこういることに驚きます。切るための包丁なんだから切れなきゃ困ると思いますが、切れすぎると怖いんだそうです。

まあその辺の認識は人それぞれでかまわないのですが、「1」”怖い・危ない”という観点でいうと、たとえばゴボウやカボチャなどの堅い野菜を切る際、良く切れる包丁なら無理な力を入れなくてもスパっと切ることができますが、切れない包丁だと無理にゴリゴリと力を入れなくてはならず、そのためにゴボウやカボチャがグラグラしたり、すべって大きく動いたりして予期せぬ大けがにつながったりします。

またついうっかり刃に触れて指などを切ってしまったとしても、スパっと切れた鋭利な傷口は経験上治りが早いのですが、のこぎりなど荒い刃でぐっさりざくざくと切れた傷口は回復に時間がかかってしまうように感じます。
要するに「切れる包丁は怖い」ってのは根拠のない迷信のようなもので、切れない方がかえって危ないのです。これは日頃使っている私がいうのだから間違いありません。

次に「2」”仕上がり”の観点でいえば、良く切れない包丁で料理を作るとどうしても仕上がりが悪くなってしまいます。たとえばよく通販番組で包丁でトマトを切る場面をよく見かけますが、切れる包丁でスパッとトマトをスライスしたサラダは見栄えが良いですが、ゴリゴリと何度も切り直してフチがつぶれてギザギザ・グチャっとしたトマトはもう見栄えの時点でアウトです。
他にもたとえば煮物の人参や大根を切れる包丁で切った場合と、切れない包丁で無理に切った場合では断面の繊維の状態が大きく異なり、味の染み具合や口に入れた際の食感が変わってしまうのです。

男性ならわかるでしょうが、ヒゲそりの刃は使い捨てなので定期的に交換しますよね。換えたばかりでアゴの下あたりを剃ると、スーッと毛根からスムーズに剃れてツルツルになりますが、古い刃で剃るとしっかり根元から剃れず、剃るときもチクチク引っかかって痛いし、肌もザラザラになってしまいます。電気シェーバーも半年~一年くらいで刃を交換しますが、換えてすぐのそり心地がとても良いことがわかると思います。
包丁もヒゲそりと同じで、切れない包丁だといろいろ食材に無理がかかり、きれいに仕上がりません。

そして良い包丁の第二は「思ったように切れること」です。
これは包丁の刃の研ぎ方が主な原因です。たとえば両刃の菜切り包丁でふろふき大根を作ろうとして大根を寝かせて太い輪切りにしようとしたとき、自分では包丁をまっすぐ下におろして垂直に切ろうと思っているのに、研ぎ方が悪く片方だけを偏って研いでいるため刃が斜め方向に進んでしまい、真っすぐに切れないことがあります。

また、包丁の刃先部分を均等に研がなかったことにより、まな板と刃先に隙間ができてしまう場合があります。こうなるとたとえば沢庵を切った際に根元が薄皮一枚でつながってしまったりするのです。

これでは困ってしまいます。まっすぐ切りたい時にはまっすぐ切れる包丁、切断したい時はきちんと切断できる刃先形状の包丁、これが良い包丁の第二の要素です。

第三に「切れ味が長持ちすること」です。
さきほどのヒゲそりの例で言えば、ヒゲの堅さや量によってカミソリの刃の交換時期は変わります。我々僧侶は毛髪をカミソリで剃るのですが、修行仲間にはものすごい堅い髪質の者もいて、一回の剃髪の間に刃を交換しなくてはいけない人もいました。
カミソリの刃をしょっちゅう交換すればその分コストがたくさんかかるため、なるべく刃が長持ちする方が良いに決まっています。ビジネスホテルの洗面所に付属しているカミソリは、比較的刃が持たない=すぐに切れなくなるものが多いですが、要するに同じカミソリでも材質によって長持ちするしないに差があるのです。
包丁も同じで、切れ味がすぐに落ちてしまう包丁はそのたびに研ぎ直す必要があり、使いにくくて困ります。できるだけ長く切れ味を保てる包丁が良い包丁の第三の要素です。

まあその他にも耐久性、重さ、握りやすさ、全体のバランス、見た目の好み、価格などの細かな条件もありますが、主に上記の3点が、私が思う良い包丁の要素です。

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