竹やぶ大掃除7~おまけ お薦めのナタ

閲覧者さまから問い合わせがあったので今回使用した鉈(ナタ)についてご紹介します。

包丁なら経験知識ともに自信をもっておすすめできるのですが、鉈となると正直料理包丁ほどは詳しくありません。しかし同じ刃物なので通じる点が多々あり、15年にわたる竹藪掃除の観点からお薦めの鉈を紹介致します。


まずこれは購入して15年経っている普段使いの鉈です。補修しながら使っていますがだいぶくたびれています。
カネ光と刻んでありますがおそらく見た感じだと鍛冶がハガネを鉄と鍛接して鍛えた品ではなく、一般に利器材と呼ばれる、工場で大量生産されたもののようで、安価な代わりに刃はそれほど鋭くありません。

安物でダメダメかというとそうではなく、包丁と違って、鉈の場合は初心者はまずはあまり切れすぎないほどほどの鉈を使う方が良いように思います。というのも包丁はまな板の上でほぼ決まった細やかな動きしかしませんが、自然の中で使う鉈は状況に応じて変則的な軌道の大きな動きもします。それに対象物の竹がしなって反動で刃が予期せぬ向きに跳ね返ることもあります。
うっかり腕や太腿をざっくりしてしまった場合、鋭い刃の鉈だと大けがですがこの鉈だとはっきり言って皮膚は切れず、アザくらいですむので安全です。

仕事の能率面でいうと、そりゃあスパッと切れる方が楽ですが、こうした鉈の場合、笹枝を叩き切る感じです。力は多少必要になりますが危なくないため、慣れないうちは最もお薦めです。

それほど鋭くない刃というのは逆に言えば耐久性が高いという見方もできて、堅い物を叩いてしまっても刃こぼれしにくい利点もあります。

この品物自体はもうおそらく市販していませんが、このクラスの品を望むなら近くのホームセンターで2~3000円程度の安い品を買えばOKです。


今回私がメインで使ったのはこちらです。銘は「 鋼典 」新潟の鍛冶屋さんです。
この品は「黒打」といって身の部分が黒い地鉄のままで、磨いてありません。そのためコストを抑えることができ、また錆びにくい実用品です。

刃先の出っ張りは鍛冶によって異なりますが「箸」「くちばし」「石突き」などと呼ばれ、振りおろした時に刃先が地面や硬いものにぶち当たらないようにガードするためのものです。他にも薪割りなどの際に小枝や割った細木を引き寄せるためにも便利な形です。
研ぐ際に少し不便になりますし、くちばしが無いタイプもあります。


切れ味と耐久性のバランスは非常に良く、多少荒っぽく使っても刃こぼれはありません。
握り部分も男性なら持ちやすい太さで重さもほどよく、ナタ自体の重さで無理なく振り下ろせる感じです。銘もふりがながついている点が好みが分かれるところだと思いますが、私はセンス良い銘だと思います。

なによりもこの価格でこの性能というのはあまり他ではみかけないと思います。今回は立ち枯れて硬くなった竹が多い後半に使いましたが切れ味が良い上に刃こぼれも無く非常に実用的です。
初心者~中級者に最もお薦めしたいナタです。

作業に慣れた中~上級者にお薦めしたいのがこちら、土佐刃物の東周作、青紙鋼製の高級ナタです。

刃物の価格は、使用する鋼材の種類によって大きく変わります。ハガネのメーカーによって呼び方も変わりますが、日立金属製の場合ざっくり言うと黄紙→白紙→青紙 の順に炭素量などの関係で高価になっていきます。その中でも白紙2号、1号というように分かれています。さらに錆びないステンレスに似た銀紙という高価な鋼材もありますがナタの場合は包丁と違って常に濡れるわけではないので銀紙で無くても良いように思います。
この鋼材を、軟鉄と挟んだり合わせたりするような形でくっつけて成形し、鋼材の部分が刃先になるように仕上げるのです。

勘違いしやすいのは、この区分けは別に高価な方が絶対的に良いというようなランク付けではありません。用途に合った材料を使った刃物を選ぶことが大切です。たとえば値段が高いからといってF1レース競技用のタイヤを軽トラックに装着してあぜ道を走っても意味がありません。

この東周は鋼材が「青紙」で作られています。
鍛え方や火入れなど、鍛冶の技術によっても変わりますが、原則として白紙よりも青紙の方が刃が硬い印象で、少し研ぎにくいのですが一度しっかり研げば切れ味が白紙よりも長持ちします。
その代わり硬いため刃こぼれしやすいデメリットもあります。

この東周青紙鋼鉈は黒打ちと違って刃の身の部分も磨き上げて全体に上品な銀色で仕上げられているため刃物としての上質さを感じることができます。
一つ不満な点は、私の品に関してはグリップ部分の材木が少し柔らかい木だったのか、刃の根元の部分の留め金で締めてあるつばのあたりの木が既に削れ始めていることです。ここは竹にガンガン当たるので、硬い木が理想なのですが、たまたまハズレに当たってしまったのか、短期間で削れてしまったのは残念です。

そしてとても鋭い切れ味で、包丁と同じくらい鋭い刃付けがされています。
指をあてたらそのままスッパリ切れてしまうような、カミソリ的な鋭さです。
今回青竹が多い作業前半に使用しましたが竹の笹枝葉を本当に驚くほどザクザクと切ることができ、作業効率が上がりました。
ただし柔らかい青竹の笹枝葉には向きますが、立ち枯れて硬くなった冬の古竹などを切ると刃が欠けてしまう恐れがあるため用途が少々限定されます。
それから切れ味が良すぎるため、鉈の軌道が安定していない初心者が無理に扱うと太腿や腕を切って大けがにつながりかねないため充分な注意が必要です。

したがってこの品は中~上級者向けの品といって良いでしょう。

そしてこの品は同じく土佐打刃物、東周作の竹切りナタです。
写真で見てわかるように、鎌のように刃先が婉曲しており、また持ち手も少し長くできています。
刃は青紙の黒打で、両刃仕立てです。
持ってみるとバランスが非常によく、重さの割には軽く感じて振りやすく、曲がったナタの刃が具合良く笹枝をえぐって吸い付くようにしっかりとらえてくれます。
両刃なので笹枝に片寄って食い込んでしまうこともなく、思った通りに刈り払うことができます。
黒打仕上げの実用品なのでサビにも強く、悪条件下でも長く使うことができるでしょう。

この東周作の2本は、通販サイト「ほんまもん」さんで購入しました。
実は使用中に少々予期せぬトラブルが発生したのですが、相談したところとても親切に対応して下さいました。ネット通販というと相手が見えないので色々と心配があると思いますが、このお店なら安心してお薦めできます。
2本目の竹切ナタはお店のお薦めで追加購入したものです。自分の判断ではおそらくこれを買おうとは思いもしませんでしたが、買ってみて大変良い品で満足しました。専門外の刃物だけに、親切なお店の意見を聞くことができて良かったです。

他にも秋田のマタギが熊と戦う時に使うフクロナガサというナイフのようなナタがあります。
ナタの握り手が金属でできていて、鉄のフライパンの持ち手のように中心があいた円筒型になっていて、そこに現地で刈って作った棒を差し込むと長槍のようになるのです。
やはり男の浪漫として、サバイバル的な武器に興味が湧きますが、なにぶん刃物ですのであまり誘惑されないように安全第一・目的外不使用を忘れずに自制しなくてはいけませんね。

最後におまけで紹介するこちらは地元沼田市の名鍛冶、カネ成の古見刃物さん作の沼田鉈です。
作者が昨年現役引退なさったため、残念ながらもうこの銘品が新たに造られることはないでしょう。もったいなくて使うことはできず愛蔵しております。

昭和の時代には各地域に鍛冶屋さんがいて、クワやナタ、鎌などを手打ちで生産していました。
調べてみるとナタの形も地域によって用途や環境の違いに対応して形が違います。工業化が進んで小規模な職人さんは採算が取れなくなり、多くの鍛冶屋さんが廃業しつつありますが、やはり地元の歴史や地域性を形に表した伝統の品には深い意味と価値があります。

もしまだ地域に鍛冶屋さんがあれば今のうちに入手しておくことをお薦めします。

    

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