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浄土宗寺庭婦人会近畿地区研修会の講師をつとめました

浄土宗寺庭婦人会近畿地区研修会_精進料理講師

平成29年6月、「浄土宗寺庭婦人会近畿地区研修会」の講師を拝命致しました。

話を頂いた後、宗派が違うため同じ用語でも微妙に意味合いや定義が違うので、まずは「寺庭婦人会」という会はどういうものなのかをお聞きするところから始まりました。
定義は「浄土宗に包括される寺院で寺族台帳に登録された婦人」で、簡単に言えばお寺の住職の奥様がほとんどです、との回答で、曹洞宗でいうところの「寺族会」がそれに近いようです。
現在、ほとんどのお寺では住職の配偶者の活躍無しにお寺の運営は成り立たちません。状況はお寺によってさまざまですが、むしろ住職同等以上にお寺を支えている方も少なくありません。ところがその立場や地位が曖昧な状態が続きました。未だに、住職の妻帯についてさえ議論がわかれることがあるくらいですし、また戦前の男性社会文化の影響もあったためでしょう。そうした反省から、近年はどの宗派でも寺族や寺庭婦人等、定義や呼び方は様々ですがその立場と地位の確定と向上に努めています。

今回お世話になった浄土宗さんでは、全国に5300人の会員があり、各県ごとの寺庭婦人会を基本として、上部組織として「大阪・京都・滋賀・奈良・和歌山・兵庫」の6県を一単位とした近畿地区のまとまりがあり、毎年各県を持ち回りで会場として、一泊二日の研修を行っているのだそうです。つまり今回は京都だったら来年は兵庫、というようなローテーション制で、担当となった県の寺庭会がホスト県としてもろもろの準備や設定を受け持つのだそうです。

浄土宗寺庭婦人会近畿地区研修会_精進料理講師

とても素晴らしい制度だなあ、と他宗派さんながら感心しました。
近畿各県から集まるとなると、日帰りでは時間的に厳しいでしょう。一泊二日とすることで、研修のコマ数も増やすことができ、時間の設定にも休憩を適宜含めてゆとりをもって行うことができます。また夕食は各県の寺庭さんたちと食事をとりながら交流を深めることができ、諸々の情報をやりとりすることもできるでしょう。何よりも、ふだんお寺を留守にする機会がほとんどない寺庭さんにとって、ゆっくり温泉で心身を休めることができるめったにない機会でもあるのでは、と感じました。

そして同時に、これだけ大規模な研修会となると開催担当県の苦労は相当大変だろうとも思いました。お話しを聞くと、予想通り、今回の研修のために数年前から体制を整え、細やかな点まで漏れなく準備に励んだのだとか。

当方への依頼も、3年も前からという念の入れようでした。ありがたいことです。早期に依頼されたことで、依頼主の意気込みも伝わってきましたし、こちらとしてもしっかり準備することができました。

浄土宗寺庭婦人会近畿地区研修会_精進料理講師

会場となったのは兵庫県南東部、大阪よりにある有馬温泉のホテルでした。芦屋の峠を登り、大阪湾が眼下に広がる緑豊かな山中にある落ち着いた温泉地です。

浄土宗寺庭婦人会近畿地区研修会_精進料理講師

まずは会長さんのお寺のご本尊さまに御挨拶を。豊臣秀吉の正室、北政所の別邸跡に建てられ、本堂は有馬温泉郷最古の建築物で江戸時代前期(1712年)の建立だとか。北政所(ねね)といえば大河ドラマ真田丸では鈴木京香さんが演じましたが、ここで真田丸登場人物にご縁あるお寺にお参りできるとは思いませんでした。

有馬温泉 浄土宗念仏寺 北政所

浄土宗寺庭婦人会近畿地区研修会_精進料理講師

会場は約400人収容可能な大ホール。ずらりと並んだイスとテーブルが壮観です。

浄土宗寺庭婦人会近畿地区研修会_精進料理講師

正面ステージには浄土宗の御本尊、阿弥陀如来図が祀られています。特筆すべきは、お亡くなりになった会員さんを供養するための特大のお位牌です。これは曹洞宗ではあまりみかけませんが、ここまで丁寧になさっているのは素晴らしいことだと思いました。お位牌は通常時は県の会長さんのお寺に安置され、日常の供養をなさっているのだそうです。歴代住職の位牌よりも大きいような気が?

お供えされていた草餅?のようなお団子がこれまた美味しそうで・・・馴染みが薄いご本尊さまの前なので自重しましたがわが御本尊様の前だったら見えない裏側の部分を1個お毒味して(味見ではありませんよ、あくまでもお毒味という大切な役割です)しまったかもしれません・・・それくらいおいしそうなお団子でした。

浄土宗寺庭婦人会近畿地区研修会_精進料理講師

まずは開会式典と音楽法要が行われました。

僧侶がつとめる本堂などでの法要とは全く異なり、寺庭婦人さんが主体となる華やかで明るい法式でした。後学のために会場後部で見学させていただきましたが、その動きや進行の間合いをみていて、かなりのリハーサルを重ねたことがわかりました。特筆すべきは、兵庫県の寺庭婦人さん有志による合唱団がステージ右に数十人おられ、法要のところどころで素晴らしい美声による宗教声楽を奉詠していました。その出来映えからも、数回の練習では到底仕上がらないハイレベルに心を奪われました。忙しいお寺の毎日の中で、時間を調整して何度も練習なさったのでしょう、メンバーの方々の御努力に頭が下がります。比べるものではありませんが、これほどの宗教声楽は曹洞宗の寺族さんではシステム的にも難しいのでは無いかと思います。ここまで洗練された浄土宗さんの会式、率直に、見習うべき点が多いと感じました。

浄土宗寺庭婦人会近畿地区研修会_精進料理講師

今回、当初は新幹線で移動する予定でしたが、数ヶ月前に会長さんから著書の販売をして欲しいとの依頼がありました。参加者数が少なければ宅配で送ることもできますが、今回は聴講者が多いこともあり宅配するわけにもいかず車での移動を決めました。空き時間には自ら販売所に立って、この本はこんな感じ、こっちの本は初心者向けですよ・・・と直接説明しながら販売させていただきました。中には、まさか講師自身が販売しているとは思わなかった方もおられるようで、講演の冒頭で「はじめまして、書籍販売のおっちゃんです」と冗談を言ったらけっこう受けました。

浄土宗寺庭婦人会近畿地区研修会_精進料理講師

今回の講演で最も力を入れたのが、この講演テキストです。

通常の講演では、講演の要点や用語、添付資料などをレジュメにまとめてコピーして配布します。しかし今回の場合、一つ一つの話題のたびに、前提となる宗派の違い、考え方の相違などを説明する必要がありますので、単に内容を列記したレジュメでは誤解されてしまう恐れがあります。また大規模の講演となると係によっては講演を聴くことができない方もおられますし、当日急遽参加できなくなった会員さんも出るでしょう。また400人分ともなるとコピーしたプリントを綴じるのもかなりの労力です。そこで今回、カラー16ページの特別テキストを作製しました。

自画自賛するわけではないですが、なかなかの力作となりました。講演の流れや単語だけを載せるのではなく、読み物として読めば講演の主旨が理解でき、こちらの言いたいことが正しく伝わるように工夫しました。当初12ページの予定でしたがせっかくカラーなので巻末にレシピページを4ページ加え、あとでご自分で料理を実践できるようにしました。仮に、今の時点では精進料理にあまり関心がなくても、こうした資料があればいずれその時に参照して役立てることができますし、また自分はお供えのお膳のことなどをよくわかっていても、それを次世代に伝えていくためにも有用ではないかと思います。テキスト作製にはかなりの時間がかかりましたが、これもまた早めに依頼して下さったからこそ可能になったことです。もちろん、全て読めばわかるテキストを作った以上、講演でまったく同じ内容を話したのでは意味がありません。テキストに書かれた内容を補足するための別資料を用意してスライド投影しながら解説致しました。

浄土宗寺庭婦人会近畿地区研修会_精進料理講師

浄土宗寺庭婦人会近畿地区研修会_精進料理講師

浄土宗寺庭婦人会近畿地区研修会_精進料理講師

今回の内容は主に三部構成で、90分間の受け持ちでした。

1 精進料理とは何か、その定義と歴史、料理にこめられた心

2 精進料理の実技(調理方法とコツ)

3 お寺で精進料理をどのように実践できるか、料理教室などの開催方法提案

まずは精進料理についての基本知識や歴史背景を概観し、なぜお肉や魚を使わないのか、野菜の中でも使わないものがあるのはどうしてなのかをお話しし、また浄土宗の法然上人は肉食やお酒、精進料理についてどう述べているかについてもお話し致しました。

そして寺庭さんが実際に開山忌や報恩講などで精進料理をお出しする際のコツや注意点に触れ、また胡麻豆腐を自作する際の要点を動画を用いて解説しました。

そしてお寺離れ・宗教離れが叫ばれる現代にあって、まずはお寺に足を運んでもらうことの大切さをお話しし、そのためには精進料理はとても有効なアイテムであることから、具体的にどのような活用方法があるかを提案させていただきました。ちょうど講演の数日前に全日本仏教会の意識調査結果が発表され、その中にお寺に足を運んだことがある人ほど、住職に対する不満が少なく、逆にあまりお寺に行ったことがない人は不満を持つことが多いというデータを採用し、ふだんからお寺に来てもらうことで互いの信頼を高めていく中で、徐々に仏教の本質を伝えていくことの大切さをお話ししました。

たとえば海外旅行に行って他国の文化に接すると、逆に日本の素晴らしさに気が付くことがあります。妙にお茶漬けと沢庵が恋しくなったりして。同じように、他宗派の教義をあらためて学ぶことで、自宗の教義の特徴に気が付くというきっかけになったのならばこの上ない幸いです。

ところで、私の講演前には1時間近くの休憩時間が設けられていました。まあ1時間近い開会式典と法要を終え、さらに1講座受けた後に私の90分間の講演を聴くわけですから、それくらいの休憩を挟まなくては体も集中力も持ちませんので、本部のゆとりある設定に感心していました。ところがなんと私の前の講師さんが1時間近く長引き午後3時35分に終わるという・・・これはさすがに予想外でした。トイレ休憩も300人もいれば10分ではとても無理ですから、大急ぎで始めたものの午後3時45分に始まるはずの私の講演は4時頃開始となりました。・・。運営側は、遅れて始まった分だけ長引かせて良いといってくれましたが、そうはいってもこの会場で私の講演後に懇親会が予定されていて、ホテルスタッフの方が講演後にテーブルやイスを配置しなおして料理の準備をすることを私は知っていたので、あまり長引かせたのでは300人分の準備が間に合いません。やむを得ず、少々話を略する部分が出てしまった点が残念でした。
少しお話ししようとした内容が多すぎたようで、この点は反省しています。まあでも想定外とはいえそれはやむを得ないことで、それでもうまく対応できなかった自分の修行不足を反省するとともに、結果的に、略してしまった部分については内容を詳しく書いておいたテキストが役立つこととなりました。

浄土宗寺庭婦人会近畿地区研修会_精進料理講師

浄土宗寺庭婦人会近畿地区研修会_精進料理講師

それにしても皆さんの熱心な聴講態度には驚きました。こうした研修には何度も関わっていますが、誰ひとりとして居眠りなどせず、最後まできちんと聞いて下さる研修に出会う機会はそれほど多くありません。素晴らしい会でお話しすることができ、本当に嬉しく思っています。温泉も最高でしたし、出迎えて下さった役員各位も皆さん優しくて丁寧な応対をして下さいました。

当方に御依頼下さった会長さんはじめ兵庫寺庭会の役員の皆様、そしてご聴講下さった皆々様に篤く感謝申し上げます。またいつか、浄土宗の皆様の前でお話しできるご縁に巡り会えることを祈っております。
ありがとうございました。

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